2017/05/25

サービス付き高齢者向け住宅・住宅型有料老人ホームのケアプラン事例集

※本書の法規は2018年度以降の改正には対応していません。


「サ高住・住宅型有料ホーム 居宅ケアプラン記載事例集」

B5判 2色刷 208頁 定価 3,149円+税(ISBN 978-4-7760-1836-0)


第1章~図解でよくわかるサ高住、住宅型有料老人ホームのケアマネジメント
  • 住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅
  • 施設系居宅と介護保険施設との相違点
  • 施設系居宅をめぐる課題
  • 介護保険サービス提供上の留意点
  • 施設系居宅事業者が連携するサービス毎の留意点(訪問介護、通所介護、小規模多機能型居宅介護、定期巡回随時対応型訪問介護・看護)
  • 施設系居宅のケアマネジメントの特徴
  • 施設系居宅入居時に追加したいアセスメント項目と生活の連続性
  • 施設系居宅の抱えるリスクとリスクマネジメント


ほか

第2章~根拠を示した居宅サービス計画記載事例集
事例概要、相談受付シート、アセスメント、居宅サービス計画書(1)(2)、週間スケジュール(3表)
  • 視力低下・脚力低下による転倒の不安を抱え早期住み替え
  • 酸素管理が必要な入退院を繰返す入居者
  • 末期がんで術後疫痛や衰弱などから在宅困難となる
  • 胃ろう、痰吸引、血糖管理などが必要な認知症がある寝たきりの女性
  • 精神疾患、被害妄想から在宅継続が困難となる
  • 胃ろう、膀胱留置カテーテル、頻繁な痰吸引が必要な男性
  • 人工透析となったが他人の世話になりたくない男性
  • 狭心症発作があり糖尿病の管理も必要で独り暮らしに不安がある女性
  • 膝痛、腰痛があり体重コントロールが必要な不安感の強い男性
  • 医療ニーズが高い利用者を医療職と連携しながら看取る
  • 帰宅願望や暴言・拒否がある認知症の女性
  • 日常生活全般に介助が必要な認知症の女性
  • 脳梗塞後遺症や認知症のため意思疎通ができない女性
  • 本人の意向に寄り添いつつがん末期の入居者を看とる
  • 徘徊があっても施錠せずに見守りによって支援
巻頭

 一部のサービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」)について、利用者の介護サービスを選ぶ権利をないがしろにしているとか、同一法人による囲い込みや過剰サービスが行われているといった疑義が国の会議において俎上に挙げられました。この報道に対して私の元に、とあるケアマネジャーから一通のメールが寄せられました。そこに書かれていた内容は、主にこんな内容でした。

―制度や経営など様々な制約に縛られながらも、私達、ケアマネジャーは少しでも利用者のためになるようにと努力してケアプランを作成し、ケアマネジメントを行っている。にも関わらず、短絡的な解釈でもって勧善懲悪的にサ高住(および、そこで働くケアマネはじめ従事者達)がバッシングされるのは、とても悔しい―と。

この訴えは、多くの施設系居宅で働くケアマネ達の声を代弁していましょう。「不適切」な介護やケアマネジメントをやりたくて、この仕事に就く者など一人としていないでしょうから。

ところで、介護サービスを選ぶ権利や囲い込みは、在宅介護の分野では、とかくバッシング対象となりがちですが、特別養護老人ホームでは、最初から確保されていません。小規模多機能型居宅介護や認知症対応型共同生活介護においても同様です。にも、関わらず居宅系介護サービスに限って、それが敵視されるのは何故でしょうか。そのことに多くの専門家は矛盾を感じているはずです

また、本書でも「施設系居宅」等とややこしい表現を使っていますが、それは本当に「居宅」でしょうか。90歳の老人に、特別養護老人ホームと老人保健施設と特定施設と養護老人ホームとサ高住の違いが分るでしょうか。見た目だけでは私たち専門家でも、それらの違いを明確に見抜ける人はいないでしょう。あるのは、人員や設備などの複雑な基準などの違いだけです。どれも「施設」と一括りしても違和感は持ちません。それを法的解釈で強引に「居宅」や「施設」とみなし、それぞれのルールを押し付けているのが現状です。建前上は「利用者本位」や「サービス選択の自由」を謳った介護保険制度ですが、その点で、すべてを理解した上で、希望の介護サービスを選択できる高齢者などほとんどいないでしょう。

特に施設系居宅は旧来の老人福祉法と介護保険法と高齢者住まい法といういくつもの法令のつじつまを合わせた上に成立している、矛盾の塊のような存在です。そんな矛盾だらけの制約の中で、つじつま合わせに悪戦苦闘しながらも、少しでも、利用者本位やよりよいケアマネジメントを志向しているのが多くの現場のケアマネジャーだと思います。

そんな現場で奮闘するケアマネジャーを少しでも応援できればとの思いで、本書を監修いたしました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

◆シェア